保育士

現役保育士に聞く「レッジョエミリアアプローチ」 Vol.3

 

 目次


  Vol.1:レッジョエミリアアプローチってなに?

  Vol.2:子どもの”夢中”を記録する

  Vol.3:過程を知ることが、子どもの探究心を深める

  Vol.4:先生も子どもも、自分らしくいられる保育園

 

近所の八百屋さんによる、生の野菜を使った食育講座

― 子どもたちの発想や行動の背景を重んじるレッジョエミリアアプローチにとって、保護者の方とのコミュニケーションは非常に重要なんですね。 山東 加えて、子どもを取り巻くコミュニティー、つまりご近所さんは、レッジョエミリアアプローチに欠かせない存在なんです。  ここは神戸市中央区の元町といって、昔ながらの魚屋さん、八百屋さん、お花屋さんといった個人商店がたくさんあって、ご近所さんに恵まれた環境が整っています。大型商業施設とは違い、個人店であれば店先でお店の人と気軽にコミュニケーションがとれるんです。 

 子どもたちは色々な職業の人の様子を見たり、ときにはお話をしたり、お散歩の途中で色々な方との出会いを楽しんでいます。そして園に帰ってくると、どんな人がいたと教えてくれたり、ごっこ遊びで再現したりしながら過ごしています。

 

 その一連の様子も、一緒にいた先生が写真や動画に撮ってドキュメンテーションに残して保護者と共有します。子どもの成長を園内だけで終わらせず、地域みんなで育てようという考え方です。

 

保育園のお隣にある八百屋さん。 

平野 特に園の隣にある八百屋さんはとてもよくしてくださって、あちらから「最近こんな野菜が入ったんだよ〜!」とか、「今日のバナナは大きいでしょ〜!」と声をかけてくれるんです。

 

 子どもたちは最初こそ警戒していましたが、ご近所さんとの日常的なコミュニケーションを通して、自然と第三者との交流の仕方やマナー、あいさつを身に着けていきます。何より、街の人たちみんなに見守られているので、お散歩の時もいつも安心です。

 

─ 周囲の人々との繋がりが薄れつつある時代ですが、こちらは真逆ですね。 

山東 そもそも、ご近所付き合いの習慣自体、日本では昔から存在するものです。ですが近年は個人店の減少や大型商業施設の増加、犯罪の増加に加えて、コロナによる分断と、ご近所さんとのつながりを作る機会が減っていく一方です。

 

そんな背景があるからこそ、こうして周囲の方たちと繋がりを持てることは、私たち自身も嬉しいですし、子どもたちにとっても非常に良い経験になるんです。

  レッジョエミリアアプローチでは、子ども達の”探究心”とその周りを取り巻く”人・もの・こと”との出会いを通して、子ども達自身が世界につながっているというコンセプトで実践されています。 

食育と遊びの両立ができるおもちゃ

お鍋が太鼓に…!?でも、楽しんでくれればなんでもOK!

 ─ エミリアプリスクールの皆さんに、ウッディプッディのおままごとセットをプレゼントさせていただきました。皆さんどのような反応でしたでしょうか? 山東 おままごとが始まったり、野菜の名前を一つずつ確認したり、遊び方は様々ですが、反応はすごく良かったですよ。八百屋さんにも野菜や果物の話をたくさんしてもらえるので、ここの子どもたちは食べ物への関心は人一倍強いみたいですね。 ─ 複数の子どもたちがいますが、そういった環境ではみなさんどのように遊んでいるのでしょうか? 

野菜の断面がテーマの絵本と、おもちゃの断面を見比べて遊ぶ男の子。 平野 ウッディプッディさんの野菜は、野菜のリアルな断面がデザインされています。一人遊びをする子の中には、おもちゃの断面を見て『やさいのおなか』という絵本と一緒だ!と気づいて、絵本と見比べながらおもちゃを観察する子もいました。 

れんこんがお気に入りの男の子。 平野 また、いろんな野菜をバラバラにして、磁石で別々の食べ物をくっつけてオリジナルの野菜作りを楽しんでいる子もいます。あとは、太鼓のように箸で鍋を叩いたりとか、とにかく自由な発想で楽しんでいます。  時間が経つにつれて、一人遊びからじょじょに複数人で固まって遊ぶようになりました。他の子のカップにアイスを乗せてあげたり、トングを使って野菜を配ったり。中には、どちらが早くお鍋を食べ物で満たせるかという、オリジナルのゲームも誕生していました(笑)  おもちゃの汎用性が高いので、一人遊び・複数人遊びに関わらず各々が自由に楽しめています。 

食育は好奇心と自制心のきっかけ


はじめはお鍋を太鼓代わりにしていた男の子。他の子と一緒に遊ぶうちに、料理ごっこが始まりました。 ─ 私たちは主に「食育」をテーマとしたおもちゃを多く取り扱っているのですが、こちらでは食事や食育についてどのような取り組みを行なっていますか? 山東 ここでは、保育者と保護者の方で子どもの情報を共有し、歯のはえ具合や家庭での食事の様子などの状況を把握した上で、栄養士と調理師が食べ物のサイズや硬さの調整を行い、食事を提供しています。  ─ 保護者との連携が、給食の作り方にまで反映されているんですね…! 山東 また「食育」に関しては、ここでは保育士と同様に、栄養士も普段から子どもたちと接しているので、子どもたちは日常的に食べものについて学べる機会が多いんです。  その中で月に一度、実際の食べものを使った旬の食材に触れ合う時間があります。例えばとうもろこしの場合、皮を剥いたり、包丁で切ったり、粒を一つ一つ外したり。こんなふうに、食材の成り立ちや作り、そしてこれがどうやって自分たちが食べる給食になるのかを、栄養士と一緒に学ぶことができます。  こういった機会を通して、子どもたちは日常的に目にするさまざまなものにも過程があることを知ります。「これはどうやってできているんだろう」と考えを巡らせたり、疑問の解明に向けて自分なりに行動したりと、やがて想像力や自発的な行動力につながるんです。  子どもにとって身近な「食」を知ることは、それ自体の大切さもさることながら、さまざまなものに対する好奇心や自発性のきっかけにもなります。そういった意味では、食育は子どもたちの成長に欠かせない学びの一つですね。 平野 ちなみに今日もインタビューが行われる前に、栄養士が子どもたちに春野菜について紹介しました。みんなの前でキャベツを一枚一枚むいたり、包丁で切ったりしていたのですが、その後の自由時間ではおままごとのおもちゃを使って、見聞きしたことを再現して遊んでいました。 山東 他にもラディッシュを植えて成長過程を観察したり、クリスマスにはフルーツをトッピングしてパフェも作りました。しいたけも栽培しましたね。興味を持つことや何かを感じ取る機会として、食育の時間はとても大切にしているんです。  このように日頃から食に触れる機会の多いエミリアプリスクールの子どもたちですが、ウッディプッディさんのおままごとセットをとても楽しんでいます。自由な創作を通して食の楽しさに触れることができるので、遊びと食育がうまく両立できているなと感じました。 

子どもの意識が変わる遊び方


子どもたちと一緒におままごとをしながらも…

小さな変化や反応を見逃さず、さりげなく、かつスピーディーに撮影を行う先生。─ エミリアプリスクールでは、おもちゃで遊ぶときに心がけていることはありますか 山東 まずは、子どもが初めてそのおもちゃに出会ったときに、どんな反応をするか、どんなポイントに興味を持つかを観察します。先ほど申し上げたように、色、形、数など、同じおもちゃでも注目する点は様々です。そこで自分なりに感じ取ったものに応じて「色が似てるね」「他に似てる色あるかな?」といった感じでアプローチします。  おもちゃさえ渡しておけば、子どもは一人で遊ぶだろうと思ってその場から離れてしまう方もいらっしゃいますが、特に小さな子どもの一人遊びには限界があります。より遊びに没頭できるようになるまでは、大人がその場で一緒に遊び込むことが不可欠です。  そうすれば、子どもは自分の好きなポイントをみつけ、遊びを発展させることができるようになります。  ─ きっかけを見つけるために観察し、アプローチすることで、子ども自身の遊びの体験がより深くなるんですね。平野さんはいかがですか? 平野 大人の目線ではおもちゃを出す・片付けるというのは面倒なことと思われがちですが、子どもにとってはそれもおもちゃ遊びの一部なんです。「片付けて」と言うのではなく「赤色集まれー!」と声掛けをすれば、子どもたちが赤色を集めて持ってきてくれるんです。  おままごとも同じで、「かたっぽいなくて泣いてるよー」って声をかけると、子どもは「そうだ2つにわれるんだった! もう1個あるんだ」と自分気づいて持ってくる。そしてピッタリくっつく喜びが生まれます。  大人目線で「こう遊びなさい」「こうしなさい」と支持するのではなく、子どもの目線になって遊びをサポートする、という意識が大切だなと思います。  ─ ご自宅でもそんな感じでしょうか? 平野 そうですね。子どもが遊びに集中しているときにじゃまをしない、客観的に見る。家事などで終始つきっきりとはいきませんが、その代わり一緒に遊ぶための時間をある程度確保するようにしています。 山東 小さなうちからそういう習慣が身についていれば、3歳ころには「ママがそれやってるなら、私はこれで遊んどくわね」くらいになってるかもしれませんね(笑) 平野 すでにその傾向は少し見えてきました。かつて私が料理をしているとかまってほしくて足元にくっついていた娘ですが、その習慣のせいか、今は料理をしていても、離れたところで自分のおままごとを楽しみながら過ごしています。 山東 関わり方ひとつで、けっこう変わるんですよね。 平野 そうですね。おそらく日頃の習慣を通して「お母さんにほっとかれてる」といった不安が無くなってきたから、家事などで少し距離があっても、落ち着いていられるんだと思います。 山東 子育てにおいて3歳までが大事だと言われるのは、そのくらいの歳になって、それまで親子の関わりが形になって現れるからかもしれませんね。  ─ こうしてみると、レッジョエミリアアプローチってちょっとした心掛けで実践できるものばかりなんですね。 山東 そうなんです。それぞれのご家庭でできることから、トライしてみるだけでも十分レッジョエミリアアプローチを実践していると言えます。 

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企業主導型保育事業:エミリアプリスクール


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現役保育士に聞く「レッジョエミリアアプローチ」 Vol.1

 

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  Vol.1:レッジョエミリアアプローチってなに?

  Vol.2:子どもの”夢中”を記録する

  Vol.3:過程を知ることが、子どもの探究心を深める

  Vol.4:先生も子どもも、自分らしくいられる保育園

 

個性や多様性の尊重が叫ばれる昨今ですが、すでに1960年代のイタリアでは、子どもの個性に着目した「レッジョエミリアプローチ」が確立しつつありました。あまり聞き慣れないその名前からは「難しい規律がたくさんありそう」「お金がたくさんかかりそう」といった印象を抱く方もいるかもしれません。

ですが、私たちの何気ない生活の中でもできること…いや、すでにみなさんが普段何げなく行なっているであろうことの数々が、レッジョエミリアアプローチでは大切にされています。

今回私たちは、神戸市中央区にある保育施設『エミリアプリスクール』にて、代表の山東さんと保育士の平野さんに、レッジョエミリアアプローチについて、そして本施設で具体的に行っている保育の様子についてお話を伺ってきました。

そもそも「レッジョエミリアアプローチ」とは?

 「レッジョエミリアアプローチ」とは、「子どもの無限の可能性」を伸ばすことを大切にしている独自の教育アプローチ。1991年にアメリカのニュース雑誌『ニューズウィーク』にて「国際的な幼児教育のロールモデル」として取り上げられ、ディズニーやグーグルの社内保育施設でも採用されるなど、近年世界的な注目を集めています。 発祥はイタリア北部の町レッジョ・エミリア。第二次対戦後、半壊した街で市民が一体となって行動し幼稚園を建設したことに端を発します。以降、教育者のローリス・マラグッツィを中心に保育施設の建設や教育活動が活発となり、市民運動と教育者の一連の教育活動によって、徐々に世界にその名が広まりました。 

子どもたち一人一人の成長を見守ってくれる保育園

左:エミリアプリスクール代表の山東さん 右:同保育園の保育士の平野さん

ー ウッディプッディの進藤と申します。本日はよろしくお願いします。 山東さん・平野さん(以下敬称略) よろしくお願いします。  - こちらの「エミリアプリスクール」では、レッジョエミリアアプローチの考えを主軸とした保育園と伺いましたが、まずはそちらについて伺ってもよろしいですか?
 平野 まず、「レッジョエミリアアプローチ」は1950~60年代のイタリア北部の街で生まれた教育アプローチで、「子どもには一人一人違う考え方がある」という意識を大切にしています。私たちは、そんなレッジョエミリアアプローチの精神に基づいて、子どもたちがそれぞれどんなことを大切にしているかを観察し、一人一人違ったアプローチで個性を育むサポートをしています。  例えばある日のお絵かきの時間、「こんこんこん」とクレパスを紙に打ち付けて点を描く子がいたのですが、次第にその「音」に好奇心を抱いたようで、クレパス以外のものの音を鳴らし始めました。
  一般的にはここで「席に戻ってみんなとお絵描きしようね」と行動を修正しがちです。しかしここではむしろ逆で、先生が他に音のなるものを探してその子の近くに置いてみたり、「違う音がするね」と声かけをしたり、その子の好奇心に先生が寄り添う形で遊びの発展をサポートします。 

 ー 他の子どもたちとは、違うことをしてもいいんですか? 山東 国籍にかかわらず、そもそも人はみんな違う考えを持って生きています。たとえ、0歳や1歳といった生まれたばかりの子どもだってそう。そんな、一人一人違う子どもたちの個性を伸ばすサポートをするため、ここでは子どもたちの様子をしっかりと観察しています。  ー 子どもたち一人一人を観察するには、少人数の先生では難しいですよね。そこはどうされていますか? 平野 ここは一般的な保育施設と比べて、子ども一人当たりに対応する先生の人数が多いんです。なので、子どもたちに合わせた柔軟な対応が可能です。決められたカリキュラムをこなすのではなく、その時々の反応を見て、渡すおもちゃを変えたり、声掛けの内容やタイミングを変えたりと、常に流動的に動いています。 

エミリアプリスクールの日常風景。どの子にも隣では先生が見守ってくれています。

ー 人数が多いとは言え、子どもたちをずっと観察するのは大変ではないですか? 山東 う~ん…大変かなぁ?全然そんなふうに感じたことはないですね。平野先生はどう? 平野 そういった感覚は全然ありませんね(笑)  むしろ子どもたち一人一人に十分な時間を使えるので、保育士としてしっかりと成長を見守れることがとっても嬉しいです。 

ビニール袋も落ち葉も、子どもにとっては立派な教材

窓際にあるビニール袋。初めに見た時は「なんだろう?」と思いました。

― こちらの部屋に入った時から気になっていたのですが、この部屋にはいくつかレジ袋が干してありますよね。これは何でしょうか? 山東 子どもたちが喜んで遊ぶので置いてるんです。かしゃかしゃと擦れる音、ふわふわとゆっくり落ちる様子、どれも大人からすれば退屈に見えるかもしれません。ですが、子どもたちにとっては新しい発見なので、興奮して楽しく遊んでいます。
 子どもの独創性を伸ばす「自由な芸術活動」は、レッジョエミリアアプローチにおいて大切な要素の一つ。その子が何に好奇心を抱いているかが重要なので、使うものはなんでもアリなんです。

 ― その子の興味次第、ということですか? 山東 ええ。特に、お散歩に出かけたときに目に入る自然の素材は全てがそうです。道端に落ちている葉っぱ、花、石、枝、虫など、子どもが興味をそそられるものであれば、環境そのものが「教材」です。  先ほどのクレパスの例と同様、同じものでも子どもによって注目するポイントは様々です。葉っぱの「数」に興味を持つ子もいれば、「色」に興味を持つ子もいる。「この子は葉っぱの色に興味を示してるなぁ」と感じたら、さりげなく別の色の葉っぱを近くに置いてみる。すると、「あ、同じ色!違う色もある!」と、自分で発見できたという喜びに満ち溢れ、とても楽しそうな様子を見せてくれます。

  遊ぶものが重要なのではなく、それを通して子どもがどんなことに興味を持ったか、なにを発見したかが大切なんです。レッジョエミリアアプローチにおける私たち保育士の役割は、子どもたちの様子をしっかりと観察し、その感性を広げるための手助けをする「仕掛け人」です。そのためには、私たち大人も、小さなことに気づく感性が必要です。 

気持ちを尊重された子どもは、他人の気持ちを尊重できる子どもになる


― エミリアプリスクールの子どもたちは、普段どんな様子で過ごしていますか? 平野 この園で過ごす子どもたちは、自分で発見したり考えて行動することを心から楽しんでいるように見えます。2歳頃になって徐々におしゃべりができるようになると「ご飯の時間だけど、もうちょっとだけ遊んでもいい?」と、自分の考えをはっきりと伝えることができます。  さらに年齢を重ねると「私はこれが好きだけど、○○ちゃんはこっちの方が好きだと思う!」と、自分の主張に加えて、他の子の個性を認識している様子もうかがえます。  ― なんだか、2〜3歳にしてはとても大人びていますね。 平野 ここでの生活は「みんな一緒が当たり前」ではなく、「みんな違ってて当たり前」なんです。もちろんケンカやモノの取り合いをすることもありますが、それはあくまで成長の表れです。  それぞれの個性を認められて過ごすうちに、自分の意見を伝えてくれますし、子どもたちも相互の違いを楽しめるようになります。 

 ― 子どもたちに対して「こうしなさい!」と指示することはありますか? 平野 身の危険に直結することを除けば、基本的には子ども自身が答えを見つけるまで待つ姿勢を大切にしています。例えば、鼻水が垂れている子どもがいるとき「ティッシュとっておいで」と伝えると、ティッシュペーパーを持ってくる子もいれば、紙質の硬いハンドペーパーを持ってくる子もいます。  ここで「それは違うよ」と教えたくなりますが、そこをグッとこらえて少し待ってみます。すると、子どもなりに不快感や違和感を感じる様子を見せる時があります。そんな時に「それ、いつものティッシュよりちょっと固くない?」と、ヒントを出してあげるんです。  ─ 正解を教えるのではなく、あくまで子どもが気づくことを待つということですか? 山東 「これがティッシュだよ」と渡して正解を教えてしまうのは簡単なことです。ただ、それだと学びも浅く、子ども自身も達成感も感じないでしょう。自分の判断で行動し、違和感を感じ、再度チャレンジする。そこで成功した時は「できたね〜!」と褒めてあげると、子どもたちも徐々に自分に自信を持ってくれるんです。  「教える」ではなく「導く」というイメージですね。「痛くない?もっとやわらかいものあるかもよ?」など、あくまで私たちはサポートに徹し、正解には自分の力でたどり着かせる。その方が、結果としてしっかり覚えてくれるんです。  ─ 早く答えを教えたくてうずうずしたり、じれったくなる時はありませんか? 山東 答えを知っている大人にとって、見守る時間が焦ったいのは当然です。ですが、頭ごなしに「これはこういうものなの!」と教えられたところで、何も知らない子どもにとって理解につながるはずがありません。  子どもが自分の考えを持って行動するためには、まずその子が納得できるように向き合い、対話していくことが大切です。 

エミリアプリスクールのコンセプトは「子ども達の力を信じて!」

平野 子どもの力を信じて待つこと、納得できるまでサポートすることは、レッジョエミリアアプローチの「ひとりひとりの個性を大切にする」という点に繋がると思っています。

山東 大切なのは、子ども自身の気持ちを蔑ろにしないことです。そして、自分の気持ちを尊重してもらえたという経験は、やがて他の人の気持ちや、自分とは異なる価値観を尊重する気持ちに繋がります。



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